「情報活用能力」育成の端緒として、小学校ではプログラミング体験を通した学習活動(プログラミング教育)が必修となる。しかし、プログラミング教育は外国語や道徳のように教科化されない。取り上げる教員も少ないため、子どもたちはほぼ知らないという現状にある。本研究では、児童にプログラミング的思考を育成するために、どのような授業の在り方が効果的かを探ることとした。
1 プログラミング的思考を行っている子どもの姿の明確化
プログラミング的思考を育成するのであれば、どのような姿を目指すのかを明確にする必要がある。小学校学習指導要領解説にあるプログラミング的思考の定義を受け、「どうなれば課題解決したことになるのかが分かる児童」「課題解決に必要な手順を考える児童」「考えた手だてを検証し、修正や改善を考える児童」という三つの姿を設定した。
2 プログラミング的思考育成のための手だて
子どもたちにプログラミング的思考を育成するために、三つの段階に分けて実践を行った。「プログラムの存在に気付く」段階では、視聴覚教材を視聴し、身の回りにプログラムが存在することに気付かせた。「児童用プログラミング言語の使い方を知る」段階では支援サイトや児童用プログラミング言語を使用し、基本的な操作方法を学ばせた。「児童用プログラミング言語を使って思考する」段階では身に付けたプログラミング言語の操作法を生かし、課題を解決するためにどのような指示をコンピュータに出せばよいのかを考え、操作させた。こうした活動を重ねることで、子どもたちは目指す姿を実現するためにどのような手だてがよいのかを試行錯誤するようになった。
3 成果と課題
子どもがプログラミングに触れる環境を整え、教師が目指す姿を明確にした手だてを打つことで、子どもたちは進んで思考を行った。その姿はプログラミング的思考の定義と重なることから、この指導法は有効であったと考えている。