教育データベース

2017.11.07

小学校

体育・保健

下越

平成29年度

みんなでパスをつなぎ、攻撃する児童の育成

聖籠町立亀代小学校 渡邊 芳哉

 ゴール型のボール運動では、ドリブルだけでなく、効果的にパスをつなぐことが攻撃の可能性を広げる。しかし、これまでの実践をふり返ると、技能の高い児童が、ドリブルを駆使して一人でボールを運ぶ場面が多く見られた。パスを試みる場面もあったが、カットされたり、パスを出せる場所に味方がいなかったりと、チーム全員が攻撃に参加するような様相は少なく、得点チャンスも少なかった。児童アンケートの記述には、「パスをもらいたい」や「パスを出せるように動いてほしい」などの欲求が書かれていた。
 そこで、「パスをもらう動き」に焦点を当て、みんなが攻撃に参加し、得点チャンスを増やせるようなバスケットボールの実践を試みた。手だては以下の1、2のとおりである。

1 ワンドリブル(ボールを手にしてから1回しかボールをつけない。)
 個人では攻撃が成り立たない状況を作り出すことで、みんなが攻撃に参加する必然性が出てくる。その中でパスが重要な役割をもつようになり、ボールをもらう局面の動きを引き出そうとした。ドリブル無しにしなかったのは、児童の実態から、「パスするためにディフェンスを切り崩すドリブル」、「シュートまでのドリブル」、「ボールをキャッチしてからストップするまでのドリブル」が1回は必要だと考えたからだ。
2 「パスをもらうための動き」を段階的に学ぶ学習過程
※渡邊が考える「パスをもらうための動き」は、以下のとおりである。
(1)「上手にキャッチするための動き」
・守りをふりきる(かわす) ・パスに向かってキャッチ(前でキャッチ)
(2)「ボールを持っている味方に対して縦に攻め込むための動き」
・空いている前のスペースに走る(スペース) ・パスしたら前にすぐ走る(パス&ラン)
(3)「ボールを持っている味方の横や後ろにサポートに行く動き」
・味方が苦しくてパスが出せないときに助けに行く(おたすけ)
 上記内容を児童の欲求の流れに沿って段階的に学んでいった。

 1のルールのもと、2の学習過程で実践を行った。各授業が児童の欲求の流れに沿って段階的に進んでいったことで、学びが焦点化された。児童は、「おたすけ」と縦に攻め込む「スペース」や「パス&ラン」の動きを身に付けることができた。単元の終わりのころには、この二つの動きを結びつけるような連動した動きの出現が多く見られた。結果として、パスや得点チャンスが得られる児童の人数が増えた。また、フリーの状態でシュートが狙える状況が増え、シュート成功率を上げることもできた。

〈参考文献〉
学習指導要領解説体育編 
細江文利他著書「新学習指導要領対応小学校体育における習得・活用・探求のやってみるひろげるふかめる」光文書院2009 
信州大学教育学部付属教育実践総合センター紀要「教育実践研究」No15 2014