教育データベース

2017.11.07

小学校

特別支援教育

新潟

平成29年度

ADHDのある児童の通常の学級への適応を目指した取組

新潟市立大形小学校 武田 守広

 ADHDのある児童のS児は、衝動性や多動性の強さに起因する行動上の問題により、通常の学級にうまく適応することができず、教室から頻繁に飛び出していた。そして、通常の学級でうまく活動できたという経験をすることができず、失敗経験が積み重なった結果、他者と攻撃的な姿勢で関わるという二次的な障害が見られるようになってきていた。S児の日頃の言動から自己肯定感が低い様子が伺われた。
 本研究では、S児の自己肯定感を高めることで、通常の学級で学習する機会が増え、通常の学級に適応できるようになるのではないかと考えた。そのために次のような手だてを講じた。
<手だて>
1 目標をもって活動に取り組むための「トークンエコノミー法」の活用
 通常の学級での活動に参加できた際に、シールを獲得することができ、更に決められた数のシールを集めると自由時間と交換したり、実験が中心のお楽しみ理科に参加できたりするようにした。
2 自分の行動を振り返ることができる「できたことシート」の活用
 通常の学級での学習に参加した際、S児が「できたことシート」にできたことを記入して、自分の良い行動を振り返ることができるようにした。更に、周りの友達が学習に参加したS児のことをどのように思っているのかS児から想像して書いてもらい、友達のことを肯定的に受け取れるようにした。
3 保護者と連携してS児の自己肯定感を高める「みっけ!ノート」の活用
 家庭への連絡ノート「みっけ!ノート」を作成し、S児の良い行動を家庭と共有し、家庭でも良い行動をほめてもらえるようにした。良い行動を家庭と連携してほめていくことで、S児の自己肯定感が相乗的に高まっていくと考えられた。
 以上のような手だてを講じ、児童の変容と手だての有効性を探っていった。