教育データベース

2017.11.07

小学校

社会

佐渡

平成29年度

比較・関連付けして社会的事象の意味を捉える子どもの育成

佐渡市立金井小学校 椎井 慎太郎

 「比較・関連付けして社会的事象の意味について考える力」は、社会科で育てたい思考力の一つである。しかし、現行学習指導要領の課題に挙げられているとおり、その指導は難しい。これまでの指導を振り返っても、「関連付けて考えましょう」と、付けたい力を意識して声を掛けるようにしてきたが、一部の子どもにしか関連付けを促すことができなかった。その結果、社会的事象の意味を明確に捉えさせることができなかった。
 そこで本実践では、子どもの自発的な「比較・関連付け」を促し、その結果として社会的事象の意味を捉えさせるために、思考ツールを活用する。思考ツールには、「情報の可視化と操作性」といった特性や「促す」「気付きやすくする」という役割がある。このような思考ツールの良さを最大限に生かすことによって、上述した思考力を育てることができるのではないかと考えた。そこで、本実践では次の手だてを講じた。
1 比較・関連付けをさせる場面において、同じ観点の足をもったクラゲチャートを二つ並べる
 社会的事象の意味を捉えさせるために、思考ツールの一つである「クラゲチャート」を活用し、二つ並べて比較しやすくする。さらに、比較した後の自発的な関連付けを促すために、クラゲの足を同じ観点で並べるようにする。このようにすることで、クラゲチャートAの足と、クラゲチャートBの足を比較しやすくするとともに、観点をそろえた足があることで、子どもからの自発的な関連付けが促されると考えた。
2 関連付けを促し、相違点や共通点を明確にするための学習活動を工夫する
 二つのクラゲチャートを比較・関連付けする際に、その相違点や共通点が明確になることによって、社会的事象の意味が捉えやすくなると考えた。そこで、そのための学習活動を設定する。具体的には、全体共有場面→自力解決場面→グループ検討場面の三つの学習活動を工夫することによって、関連付けを促し、相違点を明確にさせるようにした。
 以上の手だてを行うことによって、6年生「新しい時代の幕開け」と「わたしたちの暮らしを支える政治」の単元では、社会的事象の意味を捉える子どもが増えた。今後は、他学年において手だての有効性を検証していきたい。