教育データベース

2017.11.07

小学校

算数・数学

下越

平成29年度

思考を活性化させながら、問い続ける子どもをはぐくむ指導の工夫

五泉市立五泉南小学校 久保田 理美子

 これまでの指導の結果、子どもたちは、自らの考えを徐々に表出できるようになってきた。しかし、互いの考えを関わらせながら、問題を解決していこうとする点では、弱さが見られる。そこで、課題解決に向けて、操作的な活動を通して出された考えをホワイトボード等で可視化して示すこと、そして、その考えを取り上げ、繋ぎ、問い返すことで、互いの考えを関わらせながら思考を活性化させること、この2点を重視した授業に取り組んでいる。
 ここでの、「可視化」とは、「教材の可視化」と「子どもの考えの可視化」である。また、「問い返し」とは、子どもの表現に対して繰り返したり、尋ねたりすることで、「思考を活性化させ、気付きを自覚化させるために問うこと」と「子ども同士の考えを繋ぐために問うこと」である。
【成果】「教材の可視化」では、紙ベースではなく、具体物等を実際手に取って操作しながら思考を整理することができたことから、自分の考えをもちやすくなった。また、「考えを可視化」したホワイトボードを提示することで、自他の考えを比較検討しやすくなり、思考の深まりが見られるようになった。
 更に、授業の終末では、算数日記で学習の振り返りを行った。何を学んだかを可視化することで、子ども自身が、自ら学んだことを再構築することができた。
 子ども同士の比較検討場面では、「問い返し」を随時行うことで、子どもたちの思考を活性化させながら、練り合いをさせることができた。また、ねらいに迫る子どものつぶやきに対し、問い返そうという意識で対応することで、子どもの考えを繋ぎながら、学習を進めることができた。
【課題】「教材の可視化」では、子どもの予想される考えを基に、補助教材も含めて、どのような場面でどのような教材を示せばよいのかを深く考えていく必要がある。また、子どもの考えを予想し、幾通りかのパターンで問い返しの発問を準備する必要がある。そのために、今後、様々な領域の単元で実践を行い、「問い返し」のパターン化の方向を探っていく。

<参考文献>
「ほめて育てる算数言葉」田中博史 盛山隆雄 編著 文溪堂 2013