教育データベース

2017.11.07

小学校

算数・数学

新潟

平成29年度

児童が主体的に授業をつくり、思考力を高める指導の工夫

新潟市立横越小学校 桂 有慧

 教室には、計算の答えは導き出せるものの、方法について問うとなかなか答えられない児童がいる。また、一部の児童の考えや発言で授業が進んでしまう場合もある。児童の「見方・考え方」を高めるためには、課題解決の見通しをもたせ、多様な考えを比較し、関連付けて考えさせる手だてが必要である。
 そこで私は、一人一人に課題解決の見通しをもたせるため、考えるための技である「思考スキル(思考の結果を導くための具体的な手順についての知識とその運用技法)」(黒上晴夫2012)の研究に注目し、自学級に合わせて次の4点について検討した。
1 思考スキルの精選
 黒上氏は19の思考スキルを提唱している。本研究では、児童が多用する思考スキルの傾向を分析し、精選する。また、思考スキルの定義だけでなく、具体的な文例を提示することで、児童が使いやすい環境づくりを行う。
2 授業過程の定式化
 授業過程を定式化し、先を見通して児童が主体的に学習を進めることができるようにする。
3 活用場面の設定
 思考スキルの活用実態の分析から、活用場面を① 課題解決の見通しをもつ場面、② 集団解決の場面、③ まとめにつなぐ場面とする。
4 場面ごとに分類した思考スキルの可視化
 活用場面ごとに、思考スキルを① 解決スキル、② 練り上げスキル、③ 収束スキルと分類する。どれが使えそうかを考えたり、実際に活用したりすることで、児童が見通しをもって主体的に課題解決していくことができるようにする。
 これらの4点について、6年生「分数のかけ算」「分数のわり算」「速さ」「比とその応用」で実践し、効果を検証した。特に、① 課題解決の見通しをもつ場面で「解決スキル」を効果的に活用して「見方・考え方」を高めていく児童の姿を実現することができた。

<参考文献>思考スキル(思考の結果を導くための具体的な手順についての知識とその運用技法) 黒上晴夫 2012