教育データベース

2018.11.09

中学校

部活動

上越

平成30年度

その気にさせてハードトレーニング

上越教育大学大学院 小千谷市立小千谷中学校 山本 仁士

1 研究の概要
 学校教育活動として運動部活動を捉えた場合、生徒の自立や相互の連帯感、社会性の育成など、「人間的な成長」を目的として活動が行われるべきである。しかし、実際には、大会で勝利することを、指導者も保護者も、そして選手も一番に考えているという現実があるのではないか。それ自体を否定するのではなく、二つのニーズを高いレベルで融合させようと試みた。「競技力向上」には「人間的成長」が欠かせない。「人間的成長」が「競技力向上」につながるという考えのもと指導をしてきた。また「人間的成長」は曖昧な表現であるため、この研究においては、「人間的成長」を、「自ら適切に目標を設定し、仲間と協力してその目標達成に向け、主体的に活動する」という、「内発的動機付けを基にした自立型人格形成」とした。駅伝指導において、特に以下を意識して活動をしてきた。指導方針を一言で言うと「その気にさせてハードトレーニング」である。
 (1)選手を「その気」にさせるために(内発的動機付けを高めるために)
  ① 目標設定能力の向上
  ② 小さな成功体験を積み上げること(自己肯定感・有用感・自尊心を育てる)
  ③ 連帯感の中で努力を継続させること
 (2)競技力を高めるために
  ① 様々な運動を組み合わせた「クロストレーニング」の考えで、「運動量」を確保
  ② 「ドリル」化することで、生徒が自主的に取り組みやすくする工夫
  ③ 合宿や高地トレーニング、ウッドチップコース作成など練習環境の工夫
2 成果と課題
 選手をその気にさせる、つまり内発的動機を高めることにより、主体的に連帯感をもって練習に取り組むことでできた。その結果、練習効果が上がり、選手の潜在能力を引き出すことにつながった。もちろん「内発的動機の高まり」だけではなく、「効果的な練習方法」そのものも研究を続けてきた。平成26年には新潟県としては史上初となる全国駅伝準優勝という成果を上げることができた。また高校進学後も競技を続ける選手が多く、活躍している。さらに地元陸上競技協会と連携し、県縦断駅伝や県女子駅伝などの陸上競技協会主催の大会にも多くの選手が活躍していることで、選手の自立型人格の育成、地域とのつながりを感じる。
 これからも「駅伝」のもつ魅力を大切にしながら、人材を育成し、地域に貢献していけるよう、研鑽を積んでいきたい。