教育データベース

2018.11.09

中学校

理科

新潟

平成30年度

生徒の目的意識を醸成するための問題提示の工夫と、自己の変容の自覚を促す「振り返り」の充実による深い学びのある授業の実現

新潟市立上山中学校 青木 健

本校生徒の理科における実態は、定期テストから分析すると知識・理解を問う問題については高い正答率を得ている。一方で、科学的思考力を問うものについては知識・理解を問う問題よりも低い正答率である。これまでの授業では、知識注入型の授業に偏ることなく、問題解決型の授業も展開してきた。しかし、この生徒の実態を受け、さらなる授業改革を行う必要があることを実感した。改めてこれまでの問題解決型の授業を振り返ると、解決した結果に主眼を置いていた。また、ややもすると教師主導の問題解決型の授業となっていた。そこで次の2点の手だてを講じることで深い学びをのある授業を実現し、知識・理解の定着を図り、思考力についても育成していくこととした。

(1) 問題提示を工夫することで生徒の目的意識を醸成する。
 ・ 導入時、事象や現象を提示する前に、生徒の素朴概念や既習事項を問題提示により引き出した。
 ・ 事象・現象の仕組みについて、素朴概念や既習事項と関連付けさせ、多様な仮説を挙げさせた。
 ・ 授業毎、または単元毎冒頭に「問題提示」を行い、授業の見通しをもたせた。

(2) 解決に至る過程を大切にし、振り返りを行うことで思考力を育成する。
 ・ 課題を解決する前と解決後の変容が見えるワークシートのレイアウトにした。
 ・ 学習過程を可視化した。
 ・ 解決に至った過程における「各自の考え方」について、自覚させるための振り返りの言葉を提示した。

成果と課題
(1) 成果
 問題提示と振り返り時の生徒の考えを併記させることで、自己の表現の変化を自覚し思考力の高まりを実感することができた。振り返りの言葉を提示することで、自分の思考の流れを客観的に見ることができた。

(2) 課題
 振り返りの活動で、課題が知識・理解を問う内容であったり、思考の流れを導く支援が不十分であったりした場合は、生徒の変容や思考の深まりが見られない。課題の精選と、生徒が思考の流れを示す事が困難なときの支援の方策を複数用意しておかなければならない。