教育データベース

2019.03.11

小学校

中越

平成30年度

獲得した知識を活用して学び合い、課題解決に取り組む体育授業

魚沼市立須原小学校 松井 祐太

 小学校学習指導要領(29年度告示)解説体育編では、第5学年及び第6学年の内容「思考力、判断力、表現力等」に関する記述で、「自己やグループの運動や健康に関する自己の課題を見付け、その解決方法を工夫する」とあります。
 また、高田・横嶋(2018)は、『初等教育資料』で「思いや願い、目標等の実現に向けて、自分の課題は何かを見付けることができるような活動を充実する。その際、課題の例示や児童相互の見合い、学習資料やICT機器の活用等により、自己の課題を明確にすることが大切である。次に、課題の解決に向けた活動を選ぶことができるようにするには、子ども一人一人の課題に応じた練習の場や活動を確実に確保する」と述べています。
 過去の短距離走の実践では、グループでの学び合い活動を通して技能の習得を目指してきました。グループでの学び合いでは、「熊手チャート」を活用することで、動きを見る視点を獲得しながら多面的に動きを捉え、多くの児童が、獲得した知識を自分たちの動きと結び付けながら練習に取り組むことができました。しかし、知識と動きをうまく結び付けられない児童は、自己や仲間の課題を的確に捉えないまま走りを改善する練習に取り組んだり、解決方法があいまいな状態で練習に取り組んだりする姿が多く見られました。
 そこで本研究では、走りの局面ごとに疾走動作の観察をすることで、児童が改善すべき走りの場面を焦点化させました。さらに、思考ツール「熊手チャート」を活用することで、局面ごとに「動きを見る視点」を獲得しながら多面的に運動を観察し、児童一人一人が自己や仲間に合った課題をより獲得できるようにしました。さらに、「走力アップカード」を活用することで、自己の課題に合った解決方法を考えたり、選択したりしながら練習に取り組むことができると考え、実践しました。
 児童は、自分たちで作成した「熊手チャート」を基に局面ごとに走りを観察し、より自己の能力に合った課題を見付け、それに合った課題解決方法を考えたり、選択したりしながら練習し、技能(動きの質)を向上させることができました。