教育データベース

2019.03.11

小学校

社会

中越

平成30年度

地域素材を手がかりとして、学びを深める単元構成の工夫

長岡市立越路小学校 佐藤 康子

 小学校社会科の歴史学習において、どこの地域でも多くの先生方の手で、 地域の歴史を取り扱うことが試されていることと思います。しかし、身近な素材故に児童の共感的な理解で満足してしまい、教科書で取り扱う事象との繋がりが薄く、社会的な事象の意味付けまで子どもの理解が及ばないことが私自身の課題でした。こどもが、社会的事象の意味について実感をもって捉えるためには、身近な事象と一般的な事象すなわち地域と社会全体の動向を関連付けながら学ぶことが大切ではないかと考えました。
 そこで本研究では、「身近な地域素材を窓口として学び、その意識や問いを日本を象徴する事象で繰り返し学習できるように単元を構成するならば、子どもは相互の事象を比較・関連させることを通して、地域と全体の繋がりの中で社会的事象を捉えることができるだろう。」という研究仮説を設定し、以下の二点の手だてを通して上記の仮説に迫るものとしました。
 ①単元構成の工夫 …… 単元の中で取り扱う題材を、身近な地域素材と全国的なあるいは社会的動向の象徴となる素材の二重構成にして、子どもの問いや思考がつながるように単元を構成します。それによって、子どもは地域素材で学んだ手法や経験を手がかりに、自分の地域や生活経験と離れた内容に対しても解決までの見通しをもって学ぶことができると考えました。
 ②子どもの意識に必然性と連続性を与える発問 …… 地域素材の学びを通して子どもが獲得した視点や考えを、広げたり繋げたりする発問を行うことで、子どもが次の学習へと連続性を意識しながら向かうことができるようにします。
 本研究では2実践を用いて、6年生の歴史学習において地域教材から日本全体あるいは他地域の事象へと学びを連続させることにより、子どもが、学び方の手法を獲得して自ら使うこと及び両者を比較・関連させることを通して、当時の人々の願いや努力を様々な立場や視点の繋がりの中で捉えることができる姿の獲得について検証しました。