教育データベース

1970.01.01

小学校

国語

中越

複数の叙述を基に人物像を捉える文学的な文章の指導のあり方

黒条小学校 桑原 正大

“子どもたちには,もっと読書の楽しさや魅力を知ってもらいたいと願う。読書をすることで,想像力が豊かになるとともに,知識を広げ,深めることが期待できる。しかしながら,学級の子どもたちは,ゲームやメディアに興味をもち,進んで読書する姿はあまり見られない。それでは,本の楽しさを知り,進んで本を手にとる子どもを育てるにはどうしたらいいか。本を読む楽しさは,登場人物に同化して感情が動くこと,登場人物の人物像から生きる上で大切な価値観に気付くことだと考える。作者も登場人物を通して自分が伝えたいことを伝えている。登場人物について読み深める読書体験ができれば,子どもたちが読書の楽しさを知り,進んで本を手にする子どもが育つのではないか。
 これまで自身の登場人物の人物像を捉える実践を振り返ると,なぜそのように人物像を捉えたか理由がはっきりしない子,一つの叙述や場面しか捉えられず断片的な人物像になっている子が多かった。また,平成28年度全国学力・学習状況調査においては,「登場人物の人物像について,複数の叙述を基にして捉える」設問の全国正答率は64.1%と低い結果だった。報告書には,「登場人物の性格がよく表れている行動や会話などは,複数描かれているため,それらを結び付けながら読むことが必要である。一つの場面だけではなく,複数の場面において描かれている登場人物の性格が分かる叙述を結び付けながら読むこと」と学習指導にあたって留意すべきことが述べられている。
そこで,本研究では,文学的な文章の学習指導において,子どもが登場人物の行動や会話等の叙述に着目し,複数の叙述を結び付けて人物像を捉える姿を目指す。そのために,登場人物の行動や会話から思いや考えを想像し記述して,挿絵に付けた吹き出しに書く読解活動を行う。それを繰り返すことで,複数の叙述や想像したことを結び付けて人物像を捉えることができるようにする。また,多読の場面を指導計画に位置付けて,学んだ読みの力を活かして自力で読み,人物像を紹介する読書活動の場を設定する。一つの叙述だけではなく,複数の叙述を根拠にすることで,より具体的に登場人物の人物像を思い描くことができるのか明らかにしたい。”,令和元年度”