教育データベース

2013.09.26

小学校

下越

平成25年度

「ふるさとに学び、ふるさとに発信できる総合学習の在り方」

新発田市立川東小学校 金子 亘

1 取組主旨
 「ふるさと」辞書を引くと「生まれた土地。幼い頃育った土地」とある。
 しかし、「ふるさと」はそれだけではない。例えば、アメリカに生まれれば母国語は英語になり、食べ物はパンや肉が主になる。例えば、沖縄に生まれれば真冬でも肌寒い程度、青い海、青い空がふるさとの風景になる。
 つまり、「ふるさと」とは単に生まれ育った土地と言うことではなく、その人自身の人格形成に少なからず影響を与えるものである。私という人間はふるさとに育てられる。だからこそ「ふるさと」を学ばせたい。ふるさとを学ぶことで、私という人間の根っこであるふるさとを好きになってもらいたい。誇りをもってもらいたい。
 今回の総合学習は、上記した理由からスタートした。
 また、本実践を行うことで、探究的な活動を行うために必要な力が育ち、総合学習の目標である「自己の生き方を考えることができる」子どもに育てられるであろうという思いもある。
2 具体的な取組(単元構成)
(1)課題設定
 「生き物調査」に出かけ、ふるさとの自然にどっぷりと浸る活動を計9回行った。その結果、子どもたちは以下の三点に気付くことができた。
①ふるさとには、絶滅危惧種を含むたくさんの小さな命が存在すること。
②ふるさとには、これらの命を育む豊かな自然があること。
③豊かな自然は最高の遊び場であること。
子どもたちは、ふるさと川東の自然を体験することで、ふるさとの素晴らしさに気付き、「大好きなふるさとの自然をずっと残したい」という気持ちをもつようになった。これが、課題となる。
(2)情報収集(・生き物の実態調査  ・NPOに協力依頼)
 ところが、大好きなふるさとの自然が急速になくなりつつある。人間の暮らし優先で、他の生き物の存在を考えない工事が進行中。「大好きなふるさとの風景がなくなるかも…」、「自然は人間だけのものではないのでは?」そういう「共生」という考え方が子どもたちの中で生まれた。
 また、今ある自然は、今の世代だけのものではない、と「次の世代」のことまで考えられるようにもなった。
 さらに、佐渡へ修学旅行に行くにあたって、トキと共生するための佐渡の農業についても学んだ。「生き物を育む農法」という佐渡認証米の取組が川東でもできればいいのではないか。人間にとっても、自然やそこに暮らす生き物にとってもいいふるさとにしていくためには、佐渡のやり方が参考になるのではないか、という考えにたどり着いた。
(3)整理・分析
 学習してきたことをメリット・デメリットの視点から整理・分析を行った。メリットは、生産性・効率性のアップ。デメリットは環境破壊・二次災害の危険ということになった。 
 しかし、将来大人になる子どもの視点から見ると、デメリットの方が大きいのではないかという考えに至った。                                 
 自分たちが大人になった時、自分たちの子どもが、ふるさとの自然の中で遊べるようなそんな環境を残していきたい。子どもたちは整理・分析することで、新たな視点からふるさとを見つめることができるようになった。
(4)まとめ・表現(・多様な表現方法の選択)
 子どもたちは今までの体験を通して、たどり着いた考えをなるべく多くの人に伝えたいと思うようになった。
 そこで、プレゼンを主体としつつ、第一部「ふるさと川東の自慢」、第二部「このままでいいの?ふるさと川東」、第三部「小さな命と仲よくするために」という三部構成でまとめたものを市の環境学習発表会で発表した。より分かりやすい説明となるよう劇を取り入れたり、より思いを伝えられるよう歌を取り入れたりと工夫を凝らした。
3 今後の方向性
 内海状態だった越後平野を干拓し、豊かな土地に生まれ変わらせた新発田藩溝口公の干拓事業や、ふるさと川東の土台を築いた本間百在門のことについて学習していく。
 先人たちの苦労や願いを学ぶことで、現在のふるさとの土地改良などについて考えさせたい。
 また、修学旅行で佐渡に行ってきた。トキと共生できる農業の在り方を模索、実践している。
大好きなふるさとの自然を守るため、子どもたちの視点から大人たちに提案できるような発表内容および、方法を考え、実践していく。