教育データベース

2013.09.26

中学校

新潟

平成25年度

小集団の学び合いから主体的に考えを練り上げ、自分の思いを語ることができる生徒の育成

新潟市立白新中学校 石川 みどり

生徒の気になる言葉に「どうしたらいいですか?」という質問がある。この言葉の裏には、「教師の指示が分かりづらかった」、「これでよいのか自信がない」という事だけでなく、「今後自分の作品をどのように進めたらよいのか、自分で分からなくなっている」という意味がある。このような実態を踏まえ、本研究を通して、「自分の思いを効果的に表現するためにどうしたらよいか、主体的に考えを練り上げ、作品についての自分の思いを語ることができる」生徒の姿を目指した。 
 特に版画では、下絵に描いたものがそのまま出来上がっていくのではなく、「彫る」「刷る」という工程が加わるため、凹版画の経験がない生徒は出来上がりのイメージがもてず、すぐにどうしたらよいか不安になることが予想される。また、限られた時間の中、表現したい感じを出すためにどうしたらよいか試行錯誤するためには、「こうするとこのようになる」という情報や経験を得る活動を計画的に組織することが必要である。そこで、小集団で学び合いをすれば、他の生徒の作品や考え方から新しい視点を得て、自分の作品を見直すことができるため、より自分の思いに近い表現に練り直すことができるのではないかと考えた。そのための手だては、以下の3つである。
 手だて1は、〔共通事項〕を意識した学びを1年生の初めに行うことである。形や色彩から受ける感じを共有したり、気持ちを形として表したりすることで、生徒は学んだことを鑑賞や構想に生かすことができる。
 手だて2は、下絵から版画に移る前に版画の鑑賞をし、〔共通事項〕を意識した話合いをすることである。色が限定されている中、形や色彩を観点にもう一度話し合わせることで、1年生の時の学びを思い出し、「このようにすると、こんな感じがする」と、主体的に感じ取り、版の制作に生かすことができる。
 手だて3は、グループでいろいろな彫りを試し、それをお互いが共有し合うことで、学びを広めることである。それぞれの試作品を見えるようにしておくことで、より自分の思いに近いものを選びとることができるようにしていく。
 これらの手だてを通して、「どうしたらいいかわからない」という生徒が、主体的に考えを練り上げ、自分の思いを語ることができるように変容させていきたい。