教育データベース

2013.09.26

小学校

特別支援教育

下越

平成25年度

保護者や担任との連携による問題行動の改善と学校生活への適応

新発田市立御免町小学校 須貝 雅浩

 通級指導教室は,通級する児童生徒が学校で適応できるよう特別の指導を行う場である。通級指導教室での専門的な指導が,日常生活の場で生かされるためには,子どもへの指導とともに保護者への支援,在籍学級担任との連携がたいへん重要になってくる。連携することで保護者や在籍学級の担任が正しい問題意識と適切な対応を身に付け,よりよい関係がつくられることで子どもは安定していくからである。

 在籍学級での離席や暴言,教室からの飛び出しなどの問題行動が理由で通級指導教室において指導を受けている児童がいた。在籍学級担任や保護者もその児童とどうかかわればよいのか分からず困っていたことから,通級指導教室担当が働き掛け,学校や保護者と連携して問題行動の改善に取り組んだ。連携にあたっては,行動改善のための支援モデル「教師や保護者がコンサルタントと協働して個別の指導計画の作成や校内委員会の運営にあたるコンサルテーションモデル」(COMPAS)の手続きを取り入れた。

①複数のアセスメントの実施

有効な指導方法をできるだけ取り入れる

個別の指導計画の作成と共有

 指導前,児童は在籍学級教室から飛び出し教室にはほとんどいなかったが,指導後はいる時間が増えていった。通級の連絡ファイルには在籍学級担任から「今週はほとんど教室で過ごしました。途中心を痛めることがあったのに、強い心で立ち直り,とてもすばらしい,かっこいいところも見せてくれました。」との記述があった。ソーシャルスキル尺度や学校適応感尺度(アセス)でも改善が見られた。

 今回の実践では,保護者、学校、通級指導教室が連携して取り組むことで行動面の改善が図られ,集団適応につなげていくことができた。今後は,在籍学級での生活の質の向上が課題となる。そのためには,授業のユニバーサルデザイン化を図り,誰もが参加できる授業への転換が求められる。通級指導教室担当は連携の際に,こうした相談や提案ができるような知識や技能が必要となるだろう。

【参考文献】

「LD・ADHD<ひとりでできる力>を育てる」指導・支援・個別教育計画の作成の実際 長澤正樹 川島書店 2007

「ソーシャルスキルマニュアル」上野一彦 岡田智 明治図書 2006

「新たな行動コンサルテーションモデル:COMPASによる問題行動の支援」古田島恵津子・長澤正樹・松岡勝彦

「通常学級に在籍するADHDのある児童を対象に‐LD研究 第15巻 第2号」 2006
「特別支援教育を支える行動コンサルテーション―連携と協働を実現するためのシステムと技法」加藤哲文 大石幸二 学苑社 2002