教育データベース

2014.10.25

小学校

国語

中越

平成26年度

郷土の言葉を大切にして民話を楽しむ子どもの育成

長岡市立上川西小学校 樋口 大輔

現学習指導要領では,低学年における「伝統的な言語文化ならびに国語の特質に関する事項」において,昔話や神話・伝承を扱うことが明記された。低学年では,伝統的な言語文化にふれることの楽しさが重視されている。そこでは,話の面白さだけではなく,語り口調や言い回しなどにも気付き、親しみを感じていくことが重要であるとされている。このことから,私は,民話自体のもつ内容のおもしろさはもとより,独特な語り口調や,それが醸し出す世界のあたたかさにも気付かせたいと考えた。
 教科書教材「かさこじぞう」を学習した後,長岡に伝わる民話「笠地蔵」を,民話の語り手から聞く活動を行った。方言を交えた独特の語り口調で語られる民話の世界に浸った子どもたちに「私たちも語り手として,学校の仲間に民話を聞かせよう」と単元のゴールを設定した。子どもたちは,語り手へのあこがれから,自分も語り手の人たちのように語りたいと願いをもった。
 子どもたちは,語り手としての立場から,もう一度語り手の語り方に注目するようになった。その結果,民話の中に出てくる方言(長岡弁)や,声の大きさ,話す速さ,間の取り方等の観点をもって音読に取り組んだ。その際,視聴覚機器を用いることにより,語り手自身も参加する相互評価が可能となった。そして,発表会へ向けて練習する中で,長岡弁がもつ言葉のあたたかさを感じることができたのである。
 民話を学習材とし,「語る」ことを中核に,伝統的な言語文化にふれることの楽しさを味わう学習のあり方を,子どもの姿をもとに提案する。