教育データベース

2015.10.21

中学校

算数・数学

平成27年度

生徒が問いをもち主体的に学びを深める授業

新潟市立上山中学校 田村 友教

本研究は、生徒から問いを引き出し、その問いから学習課題を設定することで、生徒の主体的な学びを深めることをねらった授業実践である。生徒から問いを引き出すために、私は生徒の中に認識の「ずれ」を生じさせる教材提示を行うことが有効であると考えた。ここでいう「ずれ」を、私は次の4つの様相に分類する。
(ア) 事象と自分の認識とのずれ
(イ) 他者の認識と自己の認識とのずれ
(ウ) 事象と定義・定理とのずれ
(エ) 自己の認識と定義・定理とのずれ
このことを踏まえ、研究仮説を「『ずれ』が生じる教材を提示し(手だて1)、その『ずれ』に着目させることを通して、生徒から問いを引き出して学習課題を設定する(手立て2)ならば、生徒は主体的に学びを深めることができるであろう。」とした。
  そこで、「垂直二等分線は2点から等距離にある点の集合である」という垂直二等分線の性質を、生徒に気付かせる場面で課題提示を工夫した。
  教科書では、ひし形の性質を根拠として垂直二等分線の作図方法を導き出している。このことにより生徒は、線分の両端の点A、Bをそれぞれ中心として、等しい半径の円をかき、この2円の交点を通る直線を引くことで作図方法を獲得することになる。
  私は、生徒の学びを深めるために、さらに垂直二等分線の作図において、ひし形を利用して典型的に作図できる場面から、意図的にひし形が利用できない場面に変更(場面変更)した。
このことにより、生徒は事象と自己認識との「ずれ」に直面し、どうしたら垂直二等分線を作図できるだろうかという問いをもつことになる。この問いを学習課題に設定し、様々な作図方法を検討する中で垂直二等分線の性質の意味理解を深めた。
  この学習を通して、生徒は垂直二等分線の性質を利用して様々な問題を解決できるようになった。また他の実践からも、生徒に認識の「ずれ」を生じさせることにより、より一般性のある考え方に高め、数学的知識・技能の意味を獲得させることができた。今後も継続して研究を進めていきたい。