教育データベース

2015.10.21

中学校

理科

平成27年度

化学変化における定量的な思考力を高める指導の工夫

湯沢町立湯沢中学校 長谷川 大輔

本研究は、単元「化学変化と原子・分子」の実践を通して進めるものである。実験を多く行うため、意欲的に授業に取り組む生徒は多いことが予想される。しかし、実験そのものに興味・関心をもつことができても、その結果をまとめたり結果から考察を導き出したりすることについて苦手意識が生じることも考えられる。特に、化学変化を定量的に考えることについては、その傾向が強い。その理由は「粒子の反応自体が目に見えないため、数量として捉えにくい」、「定量的に事象を捉える経験が少ない」などが考えられる。これらの課題解決のため、以下の手立てを講じる。
1 単元を通して化学変化の量的な変化を考える場を設定する。
 単元の中には、質量保存の法則や定比例の法則についての定量的な視点が求められる実験も含まれる。しかし、急にそのような視点が求められることを苦手とする生徒が多いことが予想される。そこで、単元を通して質量の変化に注目するという見方を与えながら進める。
2 量的な関係を考える際に、理論値と反応量による考え方を示す。
 定量的な考え方をする際、計算をして答えを導き出すことが求められる。計算方法がわからずに答えを出せない生徒も多い。そこで、理論値と反応量の考え方を共有し、計算方法を定着させる。
3 視覚的に粒子をイメージさせるための工夫を行う。
 目に見えない粒子を視覚的にイメージするために、原子カードやプラスチック球を用いたモデルを活用して授業を進める。同時に、原子量の考え方をゲーム感覚で覚える活動も行う。
4 より正確な値が出るように実験方法を検証する。
 化学変化において定量的な実験を行うことは意外と困難である。特に、定比例の法則についての金属と酸素の化合の実験では反応がうまく進まないことがある。そのため、加熱の程度や試料の質量を予備実験で検討しておく。
 以上の手立てを用いることで、化学変化における定量的な思考力を高めることにつなげていく。