教育データベース

2015.10.21

小学校

音楽

平成27年度

音楽づくりの系統的な指導法の一提案

新潟市立曽根小学校 佐藤 史人

小学校学習指導要領解説音楽編では、領域「A表現」に「音楽づくり」が独立した活動として位置づけられ、重要性が明確化された。音楽づくりの学習の中で、旋律づくりにおいては、児童が初めから数小節の旋律をつくることは難しい。教師にとっても機能和声(和音進行や和音の働きを指す概念)による旋律づくりの指導を苦手とする一面がある。児童の実態を考慮した系統的な指導と、有効な学習活動を明らかにすることが課題である。
 次の3段階からなる指導計画を組み立て実践し、解決に迫った。
1 モデルとなる教材曲を工夫した旋律づくり(中学年)
 モデルとなる4小節の旋律(a)を反復し、4小節目を続く感じにつくり変えることで、8小節の旋律(a4-a’4)をつくる。
2 和音の構成音を生かした旋律づくり(高学年前期)
 教材曲の和音の響きの変化を感じ取ることを通して、和音の構成音を生かした2部形式の3段目の旋律(b4)をつくる。a4-a’4-b4-a’4の2部形式16小節の旋律を仕上げる。
3 グループでコール&レスポンスのある音楽をつくる(高学年後期)
 コール(問い)の旋律を一人でつくり、レスポンス(答え)の合奏をグループでつくる。自分の問いとグループの合奏をつなぎ、イメージを確かめながら問いと答えのある8小節の音楽をつくる。
 児童の実態を考慮し、系統的な3段階からなる指導計画を組み立て、実践した。児童は無理なく音楽づくりに取り組み、音楽の仕組みを生かしながら、思いや意図をもってまとまりと変化のあるa-a’-b-a’の2部形式16小節の旋律をつくったり、8小節の問いと答えのある合奏曲を協力してつくったりすることができた。この取組により、自らの感性や創造性を発揮しながら自分にとって価値のある音や音楽をつくる姿に迫ることができた。
 機能和声による旋律づくりにおいては、和音や和音進行が旋律づくりを導く手立てに大きく関わっている。今後は、和音に関する知識を含めたより具体的な手立ての在り方について研究を深め、明らかにしていきたい。