教育データベース

2016.10.12

小学校

国語

中越

平成28年度

「比べ読み」を通して、読む力を高める指導の工夫

見附市立名木野小学校 坂井 大空

今までの国語授業は、1つの教材に対して、その教材だけを丁寧に教えていく形で学習を進めてきた。私は、こういった指導の仕方で、文章を読む力を高めることができるのか疑問に思っていた。
 全国学力・学習状況調査の国語B問題に着目すると、「まどみちお」の詩集、「ごんぎつね」の意見文など、複数の資料や文章から必要な情報を読み取ったり、それらを比べたりして答えを導くという内容の問題が出題されている。文学的文章を読んで、登場人物の心情や相互関係を捉えたり、説明的文章から、目的に応じて必要な情報を取り出したりして、それらを関連付けて読む力が求められているのである。
 今までの国語授業のように、1つの教材だけでは、こういった問題に対応できる力はなかなか身に付かないのではないか。また、宮沢賢治の「やまなし」に代表されるように、教材によってはその物語の世界や作者のメッセージを十分に読み取りにくいものがある。また、説明的文章の指導においても、その教材だけでの学びでは、作品の構成や書き方などの良さに気付きにくい。
 これらの課題を受け、複数の教材を活用し、それらを読み比べることで、教材間の共通点や相違点から、書かれ方の良さや作者のメッセージに気付くことができるのではないか。そして、その結果、今まで以上に文章を読む力を高められるのではないか、と考えた。
 そこで、文学的文章、説明的文章に対する「比べ読み」の実践を行う。文学的文章に対しては、同一作者の他の作品と読み比べる学習を通して、作者が作品に込めたメッセージに迫っていく。説明的文章に対しては、類似した文章と読み比べる学習を通して、文章の構成やそれぞれの良さを捉えていく。これらの実践を通して、実践の成果と課題を明らかにしながら、上記の仮説の有効性を検証していく。
 そして、児童が読む力を高める姿を実現していきたい。