支部情報BOX

2022.11.24

新潟中央東支部

教員として生きるということ

今年度も人事異動の季節がやってきました。予定より少しスタートするのが遅れましたが、今後は定年延長、再任用雇用により、65歳まで働けることが具体的に示されました。それぞれ一人一人の感じ方、受け止め方があると思います。しかし、この「教員」いわゆる「学校の先生」の道を選び、「教員としての人生」を今まで歩んで来た私達です。ゴールが少し先まで伸びた今こそ「教員としての私の存在」を思い返してみるのも、これからを考える上でも、とても意味あることではないでしょうか。

私も含め、多くの方が今でも鮮明に印象に残っている先生との思い出や場面があると思います。「小学校・中学校の時の先生、この人との出会い、あの時の出来事が今の自分につながるきっかけになった」と思えることって、誰にでもあると思います。

 

欅坂46の元メンバー、長濱ねるさんは長崎県の出身です。小学生の時、本が大好きだった彼女は毎日のように図書室に通いました。そこで当時、図書室の先生でもあった有吉他己代先生と出会いました。先生のことをジブリの映画のタイトルを真似て「アリヨッティ先生」と親しげに呼んでいたそうです。有吉先生から自分にと薦められた本『ちはやふる』に大いに感銘を受けたことも含め、長濱さんにとって憧れの人が有吉先生になっていきました。今を時めくスターとして、芸能界で大活躍中の彼女ですが、本は今でも大好きで、なんと、図書館司書の資格を取るため、忙しい今も勉強中とのことです。そのことについて、このテレビ番組の中では、「有吉先生がいてくださった長崎の時間が、今も私の原動力になっている」とも振り返っていました。すると、先生は「ほんとに!?ありがたい!」と、思わぬことに感激しておられました。有吉先生との出会いがその後の彼女の生き方の大きな指針になったようです。

 

「心を動かされる先生との出会い」があった。これを感じることができた子どもも幸せでしょうが、そう思ってもらえた、感じてもらえた先生も、本当に幸せです。古い言葉かもしれませんが「教師冥利に尽きる」ことです。

とはいうものの、果たして自分はどうだろう?今、目の前にいる子どもたちに、そういう存在としてとらえられているだろうか、そう思ってもらえる機会があっただろうか、ということについては、多くの方が考えてしまう、「いやあ、それは・・・」と思ってしまうのが現実だと思います。私達は決して、子どもたちに認められよう、あこがれの存在として見てもらえるようになろうと仕事をしているわけではありません。また、そんなふうに思って日々過ごしているなんて絶対にありえません。しかし、有吉先生のように直接相手から伝えられなくても、自分の出会った子どもたちの心の中に、少しでも良い思い出、感動や感激として残ってくれたのなら、これは本当にうれしいこと、小さくガッツポーズです。

 

私達の日常、毎日の仕事の先には、未来の大人がいます。心の中に自然に残る、そんな仕事ができるように、皆で心掛けていきましょう。

 副支部長 小川 裕一(鳥屋野中 60年度)