教育データベース

2018.11.09

中学校

中越

平成30年度

地域に愛着と誇りをもち、主体的に課題解決に取り組む児童の育成

三条市立大島中学校 川上 綾子

1 研究の概要 成果と課題
 他者から感謝されるような行動(向社会的行動)が増加すれば、様々なことへの意欲が高まるのではないか。そのための手だてとして、次の二つを考えた。一つ目は、向社会的行動を行おうとする意欲を高めるために、教師や周囲による称賛や承認を増やす取組。二つ目は、向社会的行動を意識させるために、生徒がその行動の良さや意義について考える取組である。
2 研究の実際
(1)教師や周囲による称賛や承認
 教師の言葉掛けを承認や称賛を意識したものに変えることと、学級の仲間からのありがとうメッセージの取組を行った。
 これによって最も変化したデータはASSESSの教師サポートの数値である。「担任の先生は私のいいところを認めてくれている」が肯定評価だった生徒は全体の7割で、4分の1の生徒の評価が上昇した。加えて、友人からの認める言葉掛けの取組によって学級の半数以上の生徒の友人サポートの数値が上昇している。また、教師の呼び掛けに応じて手伝いをしたり、困っている友達を助けようとしたりする姿も多く見られた。
(2)生徒がその行動の良さや意義について考える
 プロジェクトアドベンチャーでの異学年との課題解決活動や短学活での「今日のヒーロー紹介」の取組を行った。
 これによって「人を助けると周囲が見ていてくれる」「こういう声掛けをされるとうれしい」といったことを生徒は意識していくようになった。学校評価アンケートで清掃や係活動、地域ボランティア活動に意欲的に取り組んでいると回答した生徒も増えた。ASSESSの向社会的スキルの数値が7割の生徒で上昇し、また、学校生活生活満足度も向上した。
3 成果と課題
 取組を通して、生徒のボランティア等の向社会的行動が増加し、ASSESSの学校生活満足度も数パーセントではあるが上昇した。
 手だてが向社会的行動の増加にどのように作用したか、数値データで証明することができなかったことと、言葉掛けの内容や実践できた頻度等の記録がとれていないことが課題として挙げられる。今後も生徒との日々の関わりの中で有効だと思われる方法を実践し、効果を検証していく。

<参考文献>
『アセスの使い方・活かし方』栗原慎二・井上弥.ほんの森出版、
『アドベンチャープログラムトレーニングマニュアル』プロジェクトアドベンチャージャパン、
『いまどきの子を「本気」に変えるメンタルトレーニング』飯山晄朗.秀和システム、
『アドラー流一瞬で心をひらく聴き方』岩井俊憲.かんき出版