教育データベース

2019.03.12

小学校

算数・数学

新潟

平成30年度

日常と算数を関連付けた指導

新潟市立新通小学校 宮村 徹

 新学習指導要領では、これまで小学校で「算数的活動」と言われてきたものが、小・中・高等学校を通して行われる活動として「数学的活動」へと統一されました。算数科における数学的活動とは、「事象を数理的に捉え、数学の問題を見いだし、問題を自立的、協働的に解決する過程を遂行すること」と言われています。そして、事象を数理的に捉える場面は、数学の世界と現実の世界の両面に存在します。算数は現実の世界とのつながりが深く、現実の事象をどのようにして数学化するのかが課題となることがあります。
 実際の授業では、特に単元の導入場面で、現実の事象を算数の世界に捉え直すという指導は広く行われています。しかし、算数の世界を現実の事象に照らして捉え直すという指導が行われることは少ないのではないでしょうか。私は、子どもが算数の世界と現実の事象とを往還することによって、数学的な考え方をより深く理解することができるのではないかと考えました。
 そこで私は、「三角形の高さ」に焦点を当て、数学的な高さの概念の理解において,数学的な高さの概念を日常場面(現実の事象)に置き換えて考えることによる理解の深まりについて研究しました。
 まず、数学的な高さの概念を日常場面(現実の事象)に置き換える時間を単元に設定しました。そして、数学的な高さの概念と日常場面(現実の事象)における高さの概念を共通なものとして子どもに捉えさせました。その後、子どもの高さに関する考え方がどのように変容するのかを、事後テストにより継続して調査しました。
 本研究では、子どもが数学的な高さの概念と日常場面(現実の事象)における高さの概念を共通なものとして捉えたことで、日常場面(現実の事象)における高さの概念を数学的な高さの概念が上書きし、理解が深まることが分かりました。そして、このような指導を受けた子どもは、数学的な高さの概念を継続してもち続けることが分かりました。