教育データベース

2013.09.26

小学校

社会

下越

平成25年度

社会的な思考力を伸ばす指導の工夫

五泉市立五泉南小学校 番場 裕輔

 新学習指導要領では、「思考力」「判断力」「表現力」の育成が求められている。児童の実態から、思考力を育てる必要性を感じた。「思考力・判断力・表現力をつける社会科授業デザイン」(小原友行著 明治図書)で小原は社会的な思考力を「社会的事象になぜかと問いかけ、事象相互の関係やその意味を考える力」と定義している。そこから、3年生に育てたい社会的な思考力を「問題意識をもって追求し、事実と事実を関連付けてその意味を考える力」とした。
 そこで、「問題意識をもって事実を集め、視点をもたせて事実の意味を考え、事実にもとづいた考えを伝え合う活動を行えば、社会的な思考力を伸ばすことができるだろう。」という仮説を立てて検証した。
 社会的な思考力を伸ばすために以下の方策を行った。
①問題意識をもたせて調べ活動をして、事実を集めさせる。
②問題解決の視点を与え、事実の意味を考えさせる。
③事実にもとづいた考えの伝え合いをさせる。
 本実践では、「見直そう わたしたちの買い物」の単元で、抽出児の追求の様相やワークシートの記述から児童の変容を見取り、仮説を検証した。また、スーパーマーケットとコンビニエンスストアの見学を行ったが、これは、児童に身近な2つの店の見学を行い、それぞれの店の特徴について学び取らせる意図があった。
 実践の結果、以下のことが分かった。
 「①問題意識をもたせて調べ活動をして、事実を集めさせる。」では、問題意識をもち、実際にスーパーマーケットやコンビニエンスストアで見学や聞き取り調査を行ったことで、児童は事実を集め、事実の意味を考え、伝え合う活動に意欲的に取り組むことができた。児童の気付きや疑問がもとになった学習問題を設定することによって、単元を通して意欲的な追求を促すことができたと言える。
 「②問題解決の視点を与え、事実の意味を考えさせる。」では、「店の工夫はそのお客さんにとってどういうよさがあるか。」という視点を与えた。そうすることで、事実と事実を関連付けて、意味を考えようとしていた児童が多かった。単元の中で、スーパーマーケットとコンビニエンスストアに見学に行き、事実の意味を考えさせる活動を2度させたことがよかった。問題解決の視点を与え、事実の意味を考えさせる活動は有効だったと言える。
 「③事実にもとづいた考えの伝え合いをさせる。」では、伝え合いを通して、新たな事実に気付いたり、分からなかったことが分かったりする児童の姿が見られた。グループでの伝え合いを通して見方を広げることができたと言える。男女混合の4人というグループ編成は、多様な考え方が交流された点で有効であったと言える。
 ①②③のような方策を行うことにより、抽出児の記述の変容が見られた。この記述から社会的な思考力が伸びたと判断でき、仮説の有効性が検証できた。