教育データベース

2014.10.24

特別支援学校

特別支援教育

上越

平成26年度

的確な実態把握に基づく個別の指導計画の作成と活用

妙高市立にしき特別支援学校 長谷川 哲

1 主題設定の理由
 学習指導要領において、的確な実態把握を行い、個別の指導計画を作成することや個別の指導計画に基づいて行われた学習の状況や結果を適切に評価し、指導の改善に努めること等が示されている。
 しかし、前年度の個別の指導計画を参照した際に、なぜその目標が挙がってきたのかという理由を示す文言が見当たらないことがあった。また、前年度との系統性が十分に吟味されていない指導計画になることがあった。前年度の目標と異なるものになってしまい、担任によって指導の方向性が異なる。
 また、担当以外の児童又は生徒の目標や手立ては、月日が経つにつれ忘れてしまうことがあったり、学期初めに立てられた個別の指導計画を次に目にするのは学期末ということもあったりした。実態や目標、配慮事項を熟知していないがために、児童又は生徒が不適応な行動を取ったり、できていたはずの事ができなくなっていたりすることもあった。このような反省を踏まえ、複数教師で児童又は生徒の実態を捉えたり、定期的に評価し合ったりすることが必要だと感じた。
 以上のことから、本実践では、私が担任している高等部において、カード(付箋紙)を使いながら複数教師で行う実態把握(診断的評価)を中心に、形成的評価や総括的評価についても検討し、その成果を示す。また、生徒の変容やともにチームを組む教師へのアンケートから複数で個別の指導計画を作成することの有効性も明らかにしていきたい。
2 実践方法
 (1)実態把握図を作成する。
 (2)年間重点目標及び配慮事項を設定する。
 (3)各教科等の目標及び手立てを設定する。
 (4)日々の記録を共有し、学期末評価を行う。
 (5)実態把握図及び個別の指導計画の見直しを行う。
3 実践の様子と考察
 実態把握図の作成、目標設定、各教科等の目標と手立ての設定は、それぞれ生徒1名につき1時間半の時間を要した。学級を担任する職員チームの中には、初めてこの方法で行う教師もいたので、多少時間はかかったが、いろいろなアイデアを出したり、確認したりできたので、「これで良いのか。」という不安感を軽減して指導にあたることができるようになった。
 カード(付箋紙)を使用して生徒の実態をチームで共有し、チームで継続的かつ一貫性のある指導を行った結果、生徒は教師の指示や誘導に応じる力や教師に自ら要求する力が高まった。今後も個別の指導計画をチームで確認しながら、生徒の成長を促していきたい。